清水エスパルスは、日本プロサッカーの草創期を支えてきたクラブです。静岡県清水区を拠点に「サッカー王国・静岡」を象徴する存在として、多くの名選手を輩出してきました。Jリーグ初期から国内外の舞台で輝きを放ち、熱狂的なサポーターとともに歴史を刻んできたエスパルスは、現在も攻撃的で魅力あるサッカーを追求しています。今回は、その歩みと2025年の戦い方、注目選手、そしてホームスタジアムについて詳しく紹介します。
清水エスパルスの歴史
Embed from Getty Images(清水エスパルス 1993年)
清水エスパルスは1993年のJリーグ開幕時から参加した”オリジナル10”と呼ばれるクラブのひとつで、「サッカー王国・静岡」を全国に示す存在として注目を集めました。クラブ名「エスパルス」は、サッカー、静岡、清水の頭文字「S」と「パルス(鼓動)」を組み合わせた造語で、市民とクラブの強い結びつきを象徴しています。
リーグ創設初期から実力を発揮し、1996年にはナビスコカップ(現ルヴァンカップ)で初のタイトルを獲得。2000年にはアジアカップウィナーズカップを制覇し、国際舞台でも日本クラブの存在感を示しました。さらに2001年には天皇杯を制し、安定した強豪としての地位を築きました。
一方で、クラブは浮き沈みも経験しました。2015年にクラブ史上初めてJ2へ降格。1年でJ1復帰を果たすも、その後2021年には2度目のJ2降格。それでも、下部組織から育成した選手をトップチームへ昇格させる伝統は揺るがず、地域と一体となってクラブを支え続ける姿勢が根付いています。クラブが大切にしてきた「攻撃的で魅力あるサッカー」を追求する姿勢も変わることはありません。
特筆すべきは、クラブを取り巻く熱狂的なサポーター文化です。ホームスタジアム、アイスタ日本平を揺らす応援や、「静岡ダービー」で繰り広げられるジュビロ磐田との激闘は、クラブの歴史を語る上で欠かせません。地域行事や学校との交流も盛んで、地元に根差した「市民クラブ」としての色彩を常に保ち続けています。こうした背景が、清水エスパルスの魅力をより一層際立たせています。
2025年の戦術と注目選手
Embed from Getty Images(北川航也選手)
2025年の清水エスパルスは、3バックと4バックを使い分け、攻守のバランスを重視した戦い方を見せています。ビルドアップは後方から丁寧につなぎ、中盤でテンポを変えて前線へと供給するスタイルです。サイドの幅を活かした攻撃と、前線からのプレスによるショートカウンターの両面を持ち合わせており、相手に応じた柔軟な試合運びが特徴です。
ボランチが的確にバランスを取り、攻撃時にはトップ下やウイングが流動的にポジションを変えることでチャンスを創出します。守備面では、最終ラインの統率が改善され、ハイライン気味のディフェンスにも挑戦しています。特に若手とベテランの融合が進んでおり、将来を見据えた戦術的成熟度を高めています。2025年の注目選手は以下の3人です。
住吉ジェラニレショーン(DF)
3バックの中央で、最終ラインを支えるDF住吉ジェラニレショーン選手は、清水の守備の要です。対人の強さと空中戦の勝率が高く、安定した守備を実現します。ビルドアップにも積極的に関わり、後方からのパスで攻撃の第一歩を担う重要な役割を果たしています。リーダーシップも発揮し、守備陣全体の安定感を生み出しています。
嶋本悠大(MF)
2025年に大津高校から加入した、MF島本悠大選手は視野の広さとパスセンスに優れ、試合のリズムを整える役割を担います。守備への献身性も高く、攻守の切り替えで重要な役割を果たしています。世代別日本代表にも選出されており、今後の今後の清水を背負う存在として、経験を積むごとに成長が期待されています
北川航也(FW)
FW北川航也選手は、清水ユース出身で、日本代表歴もあるストライカー。スペースへの抜け出しとゴール前での冷静なフィニッシュが持ち味です。前線の軸としてゴール量産が期待されており、攻撃の起点としても機能しています。2025年はここまでチームトップの9得点(9月25日時点)を挙げており、シーズン後半に向けてさらなる活躍が期待されます。
清水の聖地・日本平スタジアムの魅力
Embed from Getty Images清水エスパルスのホームは「IAIスタジアム日本平」です。日本平と呼ばれる丘陵地帯の一角に位置しており、地形的に高台の傾斜を活かした設計がなされています。晴天の日には、スタンドの上層部やメインスタンド側から富士山や駿河湾を見渡せることもあります。その景観は訪れた観客から高く評価されています。収容人数は約20,000人で、サポーターとの距離が近く、臨場感ある応援が選手の背中を押す舞台です。
アクセス面では、JR清水駅東口からシャトルバスで約20分。試合日には多くの観客がオレンジのユニフォームを身にまといスタジアムへ向かいます。車利用者向けに周辺には臨時駐車場が用意され、あらかじめ駐車券を購入することで利用が可能です。
また、座席選びも魅力の一つ。メインスタンドは試合全体を俯瞰でき、バックスタンドは迫力ある攻防を間近で体感できます。ゴール裏は熱狂的なサポーターが陣取り、応援の一体感を味わいたい方におすすめです。日本平ならではの美しい景観と、ピッチと観客が一体となる雰囲気は、他のスタジアムにはない清水の魅力を象徴しています。

伝統を礎に、新たな未来を切り拓くエスパルス
Embed from Getty Images清水エスパルスは、Jリーグ創設時からサッカー文化をけん引してきた伝統あるクラブです。歴史の中で幾度となく試練に直面しながらも、育成と攻撃的スタイルを軸に進化を続けてきました。2025年も、経験豊富な選手と若手が融合し、戦術的にも新たな段階に入ろうとしています。
ホームであるIAIスタジアム日本平は、自然の風景とスタジアムの熱気が重なり合う舞台です。サポーターの情熱とクラブの挑戦心が重なり合い、常に前進を目指す姿勢が際立っています。これからも清水エスパルスは、多くの人々に魅力的なサッカーを届ける存在であり続けるでしょう。
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