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アタランタ初優勝とルックマンの衝撃 ― 苦難を越えたストライカーの物語

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2024年5月、ダブリンで行われたヨーロッパリーグ決勝は、イタリアサッカーの歴史に新たな1ページを刻みました。アタランタが無敗で勝ち上がってきたレヴァークーゼンを3対0で下し、クラブ創設以来初めて欧州タイトルを獲得しました。地方都市ベルガモを拠点とする中堅クラブが、欧州の頂点に立ったという事実は、単なる番狂わせではありませんでした。ガスペリーニ監督の綿密な戦術と、ひとりのストライカーの爆発が、この歴史的瞬間を生み出したのです。

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ルックマンのハットトリック:決勝史に残るインパクト

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決勝戦の主役となったのは、アタランタのFWアデモラ・ルックマン。ナイジェリア代表のアタッカーは、この夜、世界中の注目を一身に集めました。試合開始12分、素早い反応からゴール前に飛び込み先制点を奪うと、26分にはお得意のカットインから右足で強烈な一撃を叩き込みます。

さらに後半30分、カウンターの流れでスピードを活かして抜け出し、冷静にGKとの一対一を制して3点目。ヨーロッパリーグ決勝で史上初のハットトリックを達成した瞬間、スタジアムは完全にルックマンのものとなりました。異なる形でゴールを重ねた彼の姿は、ストライカーとしての多面性と決定力を証明し、欧州決勝史に残るインパクトを与えました。

アデモラ・ルックマンとは?どんな選手?

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ルックマンの物語が特別なのは、成功までの道のりが決して平坦ではなかったからです。彼はエヴァートンでプレミアリーグデビューを飾り、若手有望株として期待されました。しかし、出場機会に恵まれず、RBライプツィヒへの移籍でも定位置を確保できませんでした。続くフルアムやレスターでは才能の片鱗を見せたものの、評価は安定せず「潜在能力はあるが結果が伴わない選手」と見られていたのです。とりわけ、レスターではPK失敗や重要な場面でのミスも目立ち、厳しい批判を浴びました。

そんな彼に手を差し伸べたのがアタランタでした。2022年夏にベルガモへやって来たルックマンは、環境の変化と指揮官ガスペリーニの信頼を受けて、次第に輝きを取り戻していきます。

ガスペリーニの哲学とルックマンの覚醒

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アタランタは「選手の再生工場」とも呼ばれるクラブです。高額スターに依存せず、伸び悩む選手や新天地を求めるタレントを戦術的に活かし、価値を引き出すことを得意としています。ガスペリーニはルックマンを左サイドのアタッカーとして固定し、カットインからのシュートや背後への抜け出しを最大限に生かす戦術を用意しました。

その結果、ルックマンはセリエA初年度から二桁得点を記録し、確かな得点源として定着。ヨーロッパリーグ決勝でのハットトリックは、その積み重ねが一気に結実した瞬間だったのです。彼自身も「キャリアで最も大きな夜」と語り、過去の挫折を糧にした喜びをにじませました。

2025/26シーズンへの展望

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すでに開幕した2025/26シーズン、アタランタはチャンピオンズリーグに挑戦します。ルックマンは国内リーグだけでなく、欧州最高峰の舞台でも実力を示すことが求められるでしょう。クラブとしても新戦力を迎えつつ、彼を中心とした攻撃をどこまで進化させられるかが大きなテーマです。

ルックマンにとっても、今季はキャリアの分岐点となります。ヨーロッパリーグ決勝のハットトリックで「一発屋」ではないことを証明したい。継続的に結果を残し、世界的な評価を確立できるかが注目されます。

2023年よりサッカーライターとして活動。プライベイートでは3人の子供を持ち、育児に奮闘中。サッカーメディアFootballTribeにて記事を寄稿しています

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