長野県を拠点にJ3で戦うAC長野パルセイロは、クラブの歩みに多くの物語を抱えています。松本山雅FCとの“信州ダービー”をはじめ、激しい試合の数々はファンの記憶に刻まれてきました。そして2025年は戦術の刷新を進めながらも苦戦が続いています。ここでは、クラブの歴史から戦力、ホームスタジアムまでを整理し、その魅力を幅広くお伝えします。
AC長野パルセイロの歴史
Embed from Getty Images(AC長野パルセイロ 2016年)
AC長野パルセイロの前身は1990年に設立された長野エルザサッカークラブです。後に「パルセイロ(ポルトガル語で“パートナー”)」と改称し、地域リーグや北信越リーグを舞台に力を蓄えてきました。
2011年には日本フットボールリーグ(JFL)に昇格し、2014年のJ3創設と同時にJリーグに参入しました。以降、J3を主戦場として戦ってきましたが、シーズンによって順位の浮き沈みがあり、上位争いに食い込む年もあれば苦しい戦績に終わる年もありました。
クラブの歴史で欠かせないのが、松本山雅FCとの「信州ダービー」です。地域リーグ時代から観客を集め、近年では1万人以上のサポーターが詰めかけます。県内の誇りを懸けた一戦は今なお特別な意味を持ち続けています。
クラブは育成や運営面にも注力しながら、安定的にJリーグで戦う体制づくりを進めています。困難を経ても挑戦を重ねてきた軌跡は、長野のサッカー文化を育んできました。
2025年の戦術と注目選手

2025年のパルセイロは藤本主税監督のもと、3バックを基本に攻守を切り替えるスピードを重視しています。ボール保持時には中盤を経由して攻撃を組み立て、非保持時には前線からプレスをかけて奪取を狙うスタイルです。セットプレーやカウンターも得点源として磨きをかけていますが、守備連携やサイド対応には改善の余地があり、試合ごとに修正を重ねています。2025年の注目選手は以下の3人です。
冨田 康平(DF)
DF冨田康平選手は、堅実な守備と落ち着いた試合運びで最終ラインを引き締めます。相手の動きを読む力に優れ、1対1でも冷静に対応できる点が持ち味です。また、後方からのパス供給にも積極的で、攻守両面でチームに安定感を与える存在です。
藤川 虎太朗(MF)
MF藤川虎太朗選手は、中盤の攻撃の起点としてチームを支えるプレーメーカーです。広い視野と正確なパスで試合のテンポを作り出し、縦の鋭いボールやサイドへの展開で攻撃を活性化させます。身長172cmと小柄ながらもボールへの関与を続ける姿勢が、チーム全体のリズムを支えています。
浮田 健誠(FW)
FW浮田健誠選手は、ゴール前で強さを発揮するストライカーです。ポジショニングの巧みさとフィジカルの強さを兼ね備え、決定機で存在感を示します。途中出場でも流れを変えられる点が特徴で、限られたプレー時間の中でも2025年シーズンはここまで3得点を挙げています(9月26日時点)
観戦に最適な長野Uスタジアムの特徴
Embed from Getty ImagesAC長野パルセイロのホームスタジアム「長野Uスタジアム」は、南長野運動公園総合球技場として整備され、2015年に大規模改修を経て完成しました。収容人数は約15,000人で、観客席からピッチまでの距離が近いため、臨場感あふれる観戦体験ができます。
長野駅からバスでアクセスできるほか、車で訪れる際には駐車場が整備され、試合日にはシャトルバスも運行されます。都市部からの利便性も高く、県内外のファンが訪れやすい環境です。
スタジアムグルメでは、地元の味覚「五平餅」が人気を集めています。香ばしい味噌ダレと炭火の香りが食欲をそそり、観戦の合間の楽しみとして親しまれています。サッカー観戦と同時に地域文化も体感できることが、このスタジアムの魅力です。
降格圏に苦しむ中で描く再出発
Embed from Getty ImagesAC長野パルセイロは、Jリーグ参入後に着実な成長を遂げてきましたが、2025年シーズンは降格圏に沈む苦しい戦いを余儀なくされています。監督の戦術改革や若手の台頭といったポジティブな要素もある一方で、勝ち点の積み上げにつながらない試合も多く、得点数はリーグワーストの21(9月26日時点)と攻撃面で課題が見られます。
それでもクラブは、ダービーの熱戦やスタジアムを拠点とした活動を通じて、多くの人々を惹きつけてきました。逆境にあるからこそ、課題を克服し次のステップへ進むための姿勢が問われています。2025年の戦いは、クラブが未来を切り拓くための重要な試金石になるでしょう。


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