青森県を拠点とするヴァンラーレ八戸は、堅実な守備と粘り強い戦いでJ3の舞台に挑み続けているクラブです。2025年シーズンは、クラブ史上初となるJ2昇格を目指す重要な年。攻守のバランスが取れた戦いと、地元出身選手の活躍が注目されています。この記事では、ヴァンラーレ八戸の歴史や戦術、ホームスタジアムの魅力、J2昇格に向けた終盤戦に向けた戦いを展望します。
ヴァンラーレ八戸の歴史
Embed from Getty Images(ヴァンラーレ八戸 2019年)
ヴァンラーレ八戸は2014年に東北1部リーグからJFL(ジャパンフットボールリーグ)へ昇格しました。チーム名「ヴァンラーレ」は、イタリア語で「起源/源」を意味する “Derivante” と、「南の郷」を意味する “Australe” を組み合わせた造語です。
厳しい気候条件や遠征負担の大きい北東北という環境の中で、チームは少しずつ経験を積み重ねていきました。JFLでは初年度から堅実な守備と粘り強い戦いを見せ、地元出身選手を中心に結束力のあるチームづくりを推進。クラブ運営面でもスタジアム整備や観客動員数の拡大など、Jリーグ参入に向けた基盤づくりを着実に進めました。
その努力が実を結び、2019年にJ3リーグへ参入。青森県初のJクラブとして、地域の期待を背負い新たなステージに挑みました。J3参入後は、堅守速攻をベースに安定した戦いを続け、着実に勝ち点を積み重ねています。特に2023年シーズンは守備組織の完成度が一段と高まり、クラブ史上最高順位となる7位でフィニッシュ。上位クラブとも互角に渡り合う試合が増え、チームとしての成熟が感じられる一年となりました。
2025年は開幕から好調を維持し、ヴァンラーレ八戸は11月8日時点の順位で、J2昇格圏内の2位をキープしています。残り試合も僅かとなったJ3終盤戦に向けて、ヴァンラーレ八戸のこれからの戦いには、注目が集まります。
組織的守備からの速攻が軸となる2025年の戦術

2025年のヴァンラーレ八戸は、3-1-4-2を基本布陣としています。守備の安定を最優先に据え、失点数はリーグ最小の21失点(11月8日時点)と守備の安定感が目立ちます。一方で、攻撃面では、奪取後に縦方向やサイドを使った展開が見られますが、得点数はリーグ中位の45得点(11月8日時点)、得点力については、今後の課題です。2025年のヴァンラーレ八戸の注目選手は以下の3名です。
雪江 悠人(DF)
DF雪江悠人は選手は、ヴァンラーレ八戸の守備の要となるセンターバックです。福島ユナイテッドFCでのプレーを経て、2024年に八戸へ加入しました。1対1の対応に強く、相手ウイングを封じ込める守備能力が高く、最終ラインに安定感をもたらします。
佐藤 碧(MF)
MF佐藤碧選手は、八戸の攻守をつなぐ中心的存在です。攻守のバランスを意識したポジショニングが特徴で、ボール奪取からパス供給まで幅広くチームに貢献しています。さらに、シーズン中盤には、第13節から15節まで3試合連続ゴールを記録するなど攻撃面でもチームに貢献。正確なパスと冷静な判断力で試合のテンポを整え、守備ではインターセプトやセカンドボール対応にも積極的に関与しています。
澤上 竜二(FW)
FW澤上竜二選手は、八戸の攻撃の起点です。フィジカルの強さとポストプレーの精度が特徴で、ロングボールを収めてチームを前進させます。2025年はこれまでチームトップの12得点(11月8日時点)を挙げており、7月には3ゴール1アシストの活躍でJ3月間MVPを獲得。攻撃の中心として存在感を発揮しています。
八戸ホーム戦を楽しむ!プライフーズスタジアム観戦情報

(画像はイメージです 実際のスタジアム画像ではありません)
ヴァンラーレ八戸のホームスタジアム「プライフーズスタジアム」(旧名:ダイハツスタジアム)は、青森県八戸市市川町に位置する多目的スタジアムです。収容人数は約5,000人で、人工芝のピッチが特徴です。寒冷地でも安定したコンディションを維持できるため、シーズンを通じて良好なプレー環境が保たれています。
アクセスは、JR八戸駅から車で約25分、駐車場も整備されており、車での来場も容易です。市営バスを利用する場合は、八戸市営バスで「市川バス停」にて下車すると徒歩約5分程度です。
メインスタンド以外は芝生席で、屋根付きの座席は限られているため、雨具の用意は必須です。 観戦の際におすすめなのはバックスタンド側で、選手の動きや戦術の変化を俯瞰でき、守備の組織的な動きがよく見えます。一方、ゴール裏は熱心なサポーターが集まり、試合の臨場感を味わえるエリアです。
J3優勝、J2昇格に向けて勝負の終盤戦
Embed from Getty Images2025年シーズンのヴァンラーレ八戸は、序盤戦から安定した守備力を維持し、上位争いに食い込む戦いを続けています。特に、失点の少なさが順位を支える要因となっています。
J3では上位クラブとの直接対決が昇格を左右する状況にあり、八戸はその中で勝ち点3を確実に積み上げる戦いを求められています。現在、上位チームの勝ち点差はわずかで、残り試合は下位チームとの戦いが続きます。
終盤戦の鍵を握るのは、守備ラインの安定とセットプレーでの得点力です。チーム全体の連動した攻守や効率的な攻撃展開が噛み合えば、クラブ初のJ2昇格、そしてJ3優勝も現実的な目標となります。これまで積み重ねてきた努力が実を結ぶか、終盤戦に向けたヴァンラーレ八戸のラストスパートに注目が集まります。

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