愛媛県松山市を拠点とする愛媛FCは、四国を代表するクラブとして長年Jリーグで戦いを続けています。市民クラブとしての歩みを重ね、地域の選手育成にも積極的に取り組んできました。熱心な地元サポーターに支えられ、四国ダービーをはじめとする数々の名勝負を繰り広げてきたクラブです。2025年シーズンは苦しい戦いが続いていますが、チームは最後まで全力でピッチに立ち続けています。こでは、愛媛FCの歴史や2025年の注目選手、ホームスタジアムの魅力をお伝えします。
愛媛FCの歴史
Embed from Getty Images(愛媛FC 2014年)
愛媛FCは1970年に松山サッカークラブとして誕生し、1996年に「愛媛FC」と改称されました。四国リーグでは3度の優勝を果たし、2001年にはJFLに昇格しました。地元自治体や企業の支援を受けながら着実に基盤を整え、2005年にJリーグ準加盟が承認。2006年には念願のJ2参入を果たしました。
昇格当初は厳しい戦いが続きましたが、粘り強い守備と地道な育成でクラブの形を築き上げました。一方でJ2定着に苦しむシーズンも多く、2021年にJ3へ降格を経験すると、2023年にJ2復帰を果たすまで、クラブは挑戦を繰り返してきました。また、愛媛FCは四国を代表するクラブとして、長年地域に根差した活動を続けながら、育成型クラブとしても一定の評価を得ています。
2025年の戦術と注目選手

2025年の愛媛FCは、対戦相手や試合状況に応じて3バックと4バックを使い分ける柔軟な戦術を採用しています。守備時にはブロックを形成して中央を固めつつ、攻撃時にはサイドのスペースを突く意識が高いのが特徴です。カウンターだけでなく、ショートパスを組み合わせたビルドアップにも取り組んでおり、若手とベテランが噛み合うことで勝点を積み上げようとしています。ここでは2025年シーズンを支える注目の3選手を紹介します。
森山公弥(DF)
2025年にアビスパ福岡から育成型期限付き移籍にて加入したDF森山公弥選手は、3バック時にはウイングバック、4バック時には左サイドバックで安定感を発揮します。
空中戦に強く、セットプレーでは攻撃のターゲットにもなれる存在で、守備範囲が広く、若手ながら信頼を勝ち取っています。攻撃面でもDFながら2025年は3得点(9月末時点)と攻守両面に渡る活躍でチームの中心と言える選手です。
甲田英將(MF)
MF甲田英將選手は、攻撃的MFとして存在感を示す選手です。ボール奪取から一気に攻撃へ移る切り替えの速さはチームの武器で、リズムを作り出す役割を担っています。視野の広さと精度の高いパスで攻撃の起点となる一方、ハードワークを惜しまないプレーでチームに貢献しています。
佐藤亮(FW)
FW佐藤亮選手は、得点力とスピードを兼ね備えたストライカーです。裏へ抜ける動きで相手守備陣を翻弄し、ゴール前での決定力を発揮します。ポジショニングのセンスに優れ、味方のラストパスに合わせる冷静さも持ち合わせています。カウンター時の推進力はチームに勢いを与え、接戦を決める一撃を期待できる選手です。2025年はチームトップの5ゴール(9月末時点)を挙げていて、彼の活躍がチームの勝敗を左右するとも言えるでしょう。
熱戦を支える舞台、ニンジニアスタジアム

愛媛FCのホームスタジアムは「ニンジニアスタジアム」です。松山市の郊外に位置し、収容人数は約2万人。アクセスは松山市駅から路線バスに乗車し、「ニンジニアスタジアム(陸上競技場前)」にて下車。またはJR松山駅からスタジアム行きのシャトルバスが便利です。地元特産の柑橘を使ったグルメが並ぶスタジアムグルメもサポーターに人気で、地域色豊かな観戦環境を楽しめます。
さらに、夜の試合ではライトアップされたスタジアムが幻想的な雰囲気を演出し、家族連れや観光客にも好評です。ピッチ状態も整備が行き届いており、選手にとっても戦いやすい環境が整っています。愛媛サッカーの拠点としてだけでなく、県内外から多くの人々が訪れる交流の場として機能しており、試合の日には松山市全体が活気づく存在となっています。

熱狂必至、四国ダービーが生む緊張感と高揚感
Embed from Getty Images愛媛FCの魅力を語るうえで欠かせないのが「四国ダービー」です。徳島ヴォルティス、カマタマーレ讃岐、FC今治との対戦は毎試合熱気に包まれます。特に徳島との対戦は歴史が長く、勝敗にかかわらずスタンドが大いに盛り上がる一戦です。讃岐とは昇格争いや残留争いでしのぎを削った歴史があり、今治との対戦は愛媛県内の覇権をかけた“県内ダービー”として注目を集めます。近年は今治の台頭もあり、県内の注目度が高まる中での戦いが続いています。勝ち点以上の価値を持つダービーでの結果は、選手やサポーターに大きな影響を与え続けています。


さらに、これらの対戦は地域全体の注目度を高める存在でもあります。スタジアムの雰囲気は普段以上に熱狂的で、両クラブのチャント(応援歌)がぶつかり合い、選手もサポーターも一体感を強めます。順位争いの中での勝利は単なる1勝以上の意味を持ち、地域の誇りを背負ったダービーは今後もクラブの歴史に刻まれていくことでしょう。
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J2残留へ。試練の終盤戦
Embed from Getty Images2025年、愛媛FCは9月末時点で最下位に低迷し、J3降格圏を争う厳しい状況に置かれています。開幕から接戦を落とす試合が多く、勝点の積み上げに苦しんできました。しかし、選手たちは諦めることなく最後まで戦い抜く姿勢を見せています。これまでの失点数はリーグワーストの54で守備の安定が最大の課題であり、チーム全体で一丸となった戦いが求められます。
サポーターもまた声援を送り続け、ホーム・ニンジニアスタジアムでは勝利への後押しが欠かせません。厳しい状況だからこそ、クラブとサポーターがともに乗り越えるべきシーズンとなっています。
特にホームゲームでの勝利は残留への生命線であり、スタジアムをオレンジ色に染める応援は選手に大きな力を与えます。若手とベテランが融合し、最後まで走り切る姿勢を示せるかが勝負の分かれ目。愛媛FCは困難を力に変え、クラブの未来をつなぐための戦いに挑んでいます。試練の終盤戦は、愛媛FCの戦う姿勢とクラブの真価が問われる舞台です。
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