福島県いわき市を拠点とするいわきFCは、2012年に創設された福島県いわき市を拠点とするクラブで、震災後の地域に新たな活力をもたらす存在として歩みを進めてきました。社会人リーグからJリーグへと駆け上がり、2022年には福島県勢として初めてJ2の舞台に立ちました。クラブは育成からトップチームまで一体となった取り組みを続けており、地域のスポーツ文化を支える役割も担っています。本記事ではいわきFCの歴史、戦術、スタジアム、そしてこれからの展望を紹介します。
いわきFCの歴史
Embed from Getty ImagesいわきFCは2012年に誕生しました。2011年に発生した東日本大震災の影響が色濃く残るなかで、地域の復興を後押しする存在として設立され、サッカーを通じて人々の活力を取り戻す役割を果たそうとする姿勢は、クラブの根幹に据えられました。
2015年には運営母体となる株式会社いわきスポーツクラブが設立され、体制を整えながら本格的にクラブ運営が進められます。福島県社会人リーグからの挑戦は決して平坦ではありませんでしたが、東北社会人リーグ、JFLと着実にステップを重ねました。そして2022年にはJ3リーグで優勝し、福島県初のJ2クラブとして昇格を果たしました。震災後に歩みを始めた若いクラブは、今や全国的にも注目される存在となっています。
2025年の戦術と注目選手
Embed from Getty Images(石渡ネルソン選手）
いわきFCは2025シーズン、3バックを基本としたシステムを採用しています。守備ブロックを厚く敷き、サイドからの推進力を軸にした攻撃を仕掛けるのが基本形です。特にセットプレーからの得点が多く、コーナーキックやフリーキックを起点とした戦術はチームにとって大きな武器となっています。高さやフィジカルを活かすだけでなく、キッカーの精度と走り込みのタイミングが噛み合うことで相手に脅威を与えています。2025年のいわきFCの注目選手は以下の3人です。
石渡ネルソン（MF)
MF石渡ネルソン選手は中盤の底でプレーし、攻守のバランスを取る役割を担っています。相手の攻撃を読み取る守備力に優れており、インターセプトやセカンドボールの回収で存在感を示します。攻撃面では縦パスを狙い、素早く前線につなげる意識が強い点も特徴です。若手選手ながら、チームの中盤のキーマンとなる選手で、今後の成長にも期待がかかります。
山下優人（MF)
東北1部リーグ時代の2019年からいわきでプレーするMF山下優人は、ボール奪取能力に優れた選手です。攻撃面でもスピードを活かした突破や、裏への飛び出しで相手の守備を崩す場面が多く、試合の流れを変える役割を担います。
五十嵐聖己（DF)
DF五十嵐聖己選手は、3バックの一角を担う守備の中心選手です。空中戦の強さとフィジカルでの競り合いに安定感を持ち、相手ストライカーを封じ込める働きが目立ちます。また、後方からのロングフィードで攻撃の起点を作る場面も多く、攻撃の組み立てにも関与できる点が強みです。DFながら2025年はこれまで4得点（9月20日時点）を挙げており、攻守に渡る活躍で勝利に貢献しています。
この3人を中心にした布陣は、守備の堅さと攻撃の効率性を兼ね備えており、2025年のいわきFCを象徴する戦い方となっています。
ハワイアンズスタジアムいわきの魅力
いわきFCの本拠地は「ハワイアンズスタジアムいわき」です。福島県いわき市に所在し、収容人数は約5,000人。天然芝のピッチと観客席が近い構造により、試合の迫力を間近で体感できるのが大きな特徴です。以前は「いわきグリーンフィールド」の名称で親しまれていましたが、現在はネーミングライツにより新しい名称となっています。
アクセスはJR常磐線「湯本駅」からタクシーで約5分、車では常磐自動車道「いわき湯本IC」から約15分と利便性が高く、県内外から観戦に訪れるサポーターにとって利用しやすい環境です。観客と選手との距離が近いため、応援の声や雰囲気がピッチに直接届くスタジアムといえます。
スタジアム周辺には有料駐車場もありますが、試合当日は混雑が予想されるためクラブ公式サイトなどで事前に確認しておく事をお勧めします。
福島から全国へ。挑戦を続けるクラブのこれから
Embed from Getty ImagesいわきFCは創設から十余年で急速に成長を遂げ、Jリーグで戦うクラブとして地位を確立してきました。地域リーグからスタートし、JFL、J3、そしてJ2へと駆け上がった歩みは、国内でも注目される例です。これまで培ってきた組織力や選手層はクラブの強固な基盤となっており、これを維持・発展させることが今後の課題です。
シーズンを通じて安定した戦績を残すためには、若手育成とベテランの融合が不可欠です。また、セットプレーの強化や守備の安定化を図ることで、上位クラブとも互角に戦える力をさらに高めることができます。また、サポーターにとって魅力ある試合を提供するため、スタジアム運営や観戦環境の充実も重要です。
短期間での成長を実現したクラブだからこそ、次のステップでは「長期的に持続可能な発展」が求められます。ピッチ上の積み重ね、選手育成、クラブ運営の質向上のすべてが、いわきFCの未来を形作る大きな要素となります。今後もリーグ戦での挑戦を通じて、さらなる高みを目指していくことになるでしょう。
コメント