長年「J2の番人」としてJ2リーグを支え続けてきた水戸ホーリーホックが、2025年シーズン、新たな挑戦を迎えています。安定した戦いを続けるクラブは、首位争いを展開しながら、ついにJ1昇格を現実のものにしようとしています。この記事では、水戸ホーリーホックの歩み、戦術、注目の戦力、そしてホームスタジアムの魅力を詳しく紹介します。
水戸ホーリーホックの歴史
Embed from Getty Images(2017年の水戸ホーリーホック)
水戸ホーリーホックは1994年にFC水戸として発足しました。その後、1997年にJFL(ジャパンフットボールリーグ)に参戦。1999年にJリーグ加盟を承認され、2000年からJ2に参入しています。クラブ名は水戸徳川家の家紋「葵(ホーリーホック)」に由来しており、地域に根差し、育成型クラブとして地位を確立してきました。
水戸の最大の特徴は、J2で長期間にわたり戦い続けてきたことです。昇格も降格も経験せず、安定してJ2に在籍してきたため「J2の番人」と呼ばれることもあります。一方で水戸は育成型クラブとして定評があり、水戸から巣立った選手たちはJ1や海外の舞台で活躍しています。
代表的な例は、松本山雅FCから期限付き移籍で加入したFW前田大然選手(現セルティック)、浦和レッズから育成型期限付き移籍で水戸を経て成長したMF伊藤涼太郎選手(現シント=トロイデン)、ジュビロ磐田から期限付き移籍で活躍したFW小川航基選手(NECナイメヘン)などです。
資金力や環境面で制約のある中、選手を育て上げ、戦力として活かす姿勢はクラブの哲学と言えます。 そして2025年シーズン、水戸は「J1昇格」という新たな目標に挑もうとしています。
首位を走る戦い方と注目選手

2025年の水戸ホーリーホックは開幕戦こそ敗れたものの、その後は好調を維持し、4月12日のJ2第9節以降は15試合負けなしを記録。8月以降は勝ち切れない試合が続くも、現在首位をキープしています。長年「中位安定」と見られてきたクラブは、ついに昇格圏を狙える位置まで登りつめました。
2025年の水戸は4−4−2のシステムを採用。攻撃ではサイドのスピードを活かし、守備時にはコンパクトなブロックを形成します。ポゼッションに固執せず、ボール奪取から素早く攻撃に移る姿勢を徹底することで、相手の隙を突く鋭さを発揮しています。
走力と切り替えの速さを武器に、全員で攻守に貢献するスタイルは今季の首位躍進の原動力です。2025年の水戸ホーリーホックの注目選手は以下の3人です。
齋藤 俊輔(MF)
20歳という若さながら、水戸の攻撃を牽引するMF。主にサイドでプレーするが、2トップの一角として起用されることもあり、2025年はこれまで7ゴールを記録(2025年9月15日時点)。U-20 日本代表にも選出経験があり、今後の成長が楽しみな選手です。
渡邉 新太(FW)
ゴール前での勝負強さが光るストライカー。今季は得点王争いも視野に入り、ここまで13得点(2025年9月15日時点)を挙げています。水戸の攻撃の中心選手として渡邉選手の存在は欠かせません。
鷹啄 トラビス(DF)
193cmの高さとフィジカルを活かした若手センターバック。1対1に強く、ビルドアップにも積極的に関わる現代型DFです。彼を中心とした、守備陣の安定感が今季の水戸の好調の要因です。

ケーズデンキスタジアム水戸の魅力
Embed from Getty Images水戸ホーリーホックのホームスタジアムは「ケーズデンキスタジアム水戸」です。水戸市千波町に位置し、JR水戸駅からバスで約20分とアクセスも良好です。試合日には臨時バスも運行され、遠方からの観客でも安心して足を運ぶことができます。
収容人数は約1万人とJリーグでは中規模のスタジアムですが、ピッチと観客席の距離が非常に近く、選手の息遣いやボールの音までダイレクトに伝わってきます。応援の声援がそのまま選手に響く臨場感は、ケーズデンキスタジアムならではの醍醐味です。
さらに、このスタジアムの大きな特徴のひとつが、屋根のない開放的な構造です。晴天の日には青空の下でさわやかな雰囲気を楽しめ、夜にはライトに照らされたピッチと星空が織りなす特別な景色を味わえます。一方で、雨天時には観客席の多くが濡れるため、スタジアムへ足を運ぶ際には、事前に天気予報をチェックし、必要に応じてポンチョなどの雨具を用意しておくと安心です。
J2の番人からJ1への挑戦者へ、水戸ホーリーホックの挑戦
Embed from Getty Imagesこれまで長くJ2の舞台で戦い続けてきた水戸ホーリーホックが、2025年シーズンは首位を走り、いよいよJ1昇格が現実味を帯びてきました。攻守のバランスが取れた戦い方と、緻密な戦術理解を備えた選手たちの結束が、クラブの大きな挑戦を支えています。
2025年の水戸の躍進は、単なる一時的な快進撃ではありません。これまで積み重ねてきた経験や育成の成果が結実したものであり、ケーズデンキスタジアムから放たれる熱量は、J2を超えてJ1の舞台へ届こうとしています。長くリーグを支え続けてきたクラブが描く未来。それは、水戸ホーリーホックの歴史にとって大きな転換点となるでしょう。
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