5連敗という厳しい現実に直面し、J1最下位に沈むアルビレックス新潟。今季は攻守両面で苦しむ展開が続いています。一方で、2024年のルヴァンカップではクラブ史上初の決勝進出を果たすなど、確かなポテンシャルを示してきました。巻き返しを図る後半戦、チームに必要なものは何か。夏の補強や主力選手の移籍、戦術面の課題も踏まえながら、残留へ向けた立て直しのポイントを探ります。
最下位転落…5連敗が突きつけた現実
Embed from Getty Images2025年7月20日、デンカビッグスワンで行われたJ1第23節。アルビレックス新潟はサンフレッチェ広島に0対2で敗れ、リーグ戦5連敗となりました。この結果、勝ち点は19にとどまり、J1最下位に転落しています。
新潟は今季前半、勝ち点を着実に積み上げ、下位ながらも粘り強く戦ってきました。しかし6月以降は流れを失い、守備の脆さや攻撃の決定力不足が目立つようになっています。ポゼッションスタイルを軸とする新潟のサッカーは相手に研究され、リードされた試合での反発力も弱まっている印象です。
選手たちはハードワークを続けていますが、チーム全体がうまく噛み合っていない状況が続いており、連敗の要因は単なる不調ではなく、戦術面や人員構成といった構造的な課題が絡んでいるといえるでしょう。
ルヴァンカップ準優勝。輝いた2024年の記憶と主力の離脱
Embed from Getty Images2024年、アルビレックス新潟はクラブ史上初となるルヴァンカップ決勝進出を果たし、大きな注目を集めました。惜しくも優勝には届きませんでしたが、強豪クラブを次々と破っての快進撃は全国にインパクトを残すものでした。
その一方で、この躍進により主力選手の移籍も相次ぎました。守備の柱として活躍していたトーマス・デンは今季、横浜F・マリノスへ移籍。さらに開幕後の2025年6月には、将来を嘱望されていた若手DF・稲村隼翔もスコットランドの名門・セルティックに完全移籍、FW小見洋太も柏レイソルへ。クラブは育成型チームとして選手のステップアップを支える立場を取っていますが、短期間での主力流出はチームにとって大きな痛手となりました。
こうした流出によって、昨季に築いたチームバランスが崩れ、新たな軸の再構築が求められています。
新戦力は機能するか。夏の補強と再建への期待
Embed from Getty Images主力選手の移籍に対応する形で、新潟は夏の移籍市場で複数の補強に踏み切りました。守備から攻撃にかけて、即戦力とみられる選手を迎え入れています。
まず、柏レイソルからMF白井永地を獲得。運動量豊富で、ゲームの流れを落ち着かせることができるボランチです。加えて、同じく柏からMF島村拓弥も期限付きで加入。守備的MFとしての働きが期待されています。
ディフェンスラインには、セレッソ大阪からDF舩木翔が加入。左サイドでの出場機会があり、攻守に渡ってアグレッシブな姿勢を見せています。さらに、前線にはスウェーデンのハンマルビーIFからFWアブデルラフマン・ブーダ・サイディが加入しました。186cmの長身で、空中戦と決定力に優れたストライカーです。
ただし、新戦力が即座にフィットするのは簡単ではありません。既存の選手との連携や、戦術理解、コンディション調整など、乗り越えるべき壁は多くあります。逆にいえば、後半戦での上積みが期待できるのはこの夏の補強組でもあります。

アルビレックス新潟、J1残留への鍵はどこに?
Embed from Getty Images最下位と苦しい状況のアルビレックス新潟ですが、J1残留のためには幾つかの課題があります。その一つが守備の再構築です。トーマス・デンや稲村隼翔の移籍によって守備の安定感が損なわれました。新加入の舩木翔や舞行龍ジェームズを中心に、ディフェンスラインの再構築が急がれます。また、中盤からの守備連携も見直ことも必要です
さらに、ここ数試合では得点機会を作っても決め切れず、結果に結びついていません。リーグ戦直近5試合での得点は4と決定力不足が浮き彫りになっています。ゴール前での冷静さと精度を高めるとともに、新加入のサイディに得点源としての役割が期待されます。
また、試合終盤の戦い方や集中力の面でも課題があります。リードを守り切れずに勝ち点を落とすケースが多く、交代策や時間の使い方、セットプレーでの守備など、試合終盤におけるマネジメントに改善が必要です。2025年7月16日に行われた天皇杯3回戦の東洋大学との1戦では、後半にミスから失点を許しそのまま1対2で敗戦という結果に終わった新潟。試合全体を通して集中力を持ってプレーすることも必要でしょう。

信じる力と、地域の支えとともに
Embed from Getty Imagesアルビレックス新潟は、地域に根ざしたクラブとして、サポーターとともに歩んできました。J1で戦い続けることは、新潟という土地にとって大きな誇りであり、サッカー文化の象徴でもあります。
2024年のルヴァンカップでの快進撃は、多くの人に感動を与えました。それは、決して偶然ではなく、クラブとして積み上げてきた信念と努力の結晶です。

今は苦しい時期ですが、J1での残留争いはまだ終わっていません。残り試合、1試合1試合に全てを懸けて戦う覚悟が求められます。ピッチで奮闘する選手たちを、スタジアムで、そして画面の前で応援するすべての人々が、再び新潟の逆襲を信じています。
再浮上のカギは、新潟自身の中にあります。選手、スタッフ、そしてサポーターがひとつになって立ち向かうとき、道はきっと開かれるはずです。
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