2025年7月27日にノエビアスタジアム神戸で開催予定だった「ヴィッセル神戸 vs FCバルセロナ」の親善試合が、直前になって中止されるという衝撃の発表がありました。日本サッカー界にとっても貴重な一戦となるはずだったこの試合。なぜ直前で中止に至ったのか?そしてファンや関係者への影響はどれほどのものなのか?今回は、その背景と今後への教訓を整理していきます。
バルセロナが試合中止を発表──原因は“契約違反”と“偽造書類”?

FCバルセロナは、今回の試合をキャンセルした理由として「プロモーターによる重大な契約違反があった」と明言しました。主催を担っていたのは「YASUDAグループ」。報道によれば、このプロモーターがバルセロナとの契約上必要な支払いを行わず、さらに“支払い済”と偽るために偽造された送金確認書を提出していたというのです。
韓国のスポーツマーケティング会社D-DRIVE社のソウル・ハムCEOは、「明らかに意図的な詐欺行為が確認された」と断言。バルセロナはこの事態に強く反発し、法的措置も検討しているとしています。
これに対し、ヴィッセル神戸は「関係各所と緊密に連携し、必要な情報の収集と調整を続けているが、現時点で確定的な情報をお伝えできる状況にはない」とするコメントを発表しています。
ファンと地域に広がる混乱と失望
Embed from Getty Imagesこの試合は、ヴィッセル神戸のクラブ創設30周年を記念する一戦であり、すでにチケットは完売状態。遠方から観戦予定だったファンも多く、交通・宿泊のキャンセルなどで大きな損失を被った方も少なくありません。
また、地元・神戸市もスタジアム周辺でのイベントや観光誘致などを進めており、直前の中止発表は関係各所にとっても想定外。神戸市スポーツ企画課は「中止の報はニュースで初めて知った」と明かしており、自治体レベルでも困惑が広がっています。

2024年のセビージャ戦中止と重なる構図
Embed from Getty Images今回の件は、2024年に予定されていた「セビージャ vs サガン鳥栖」の親善試合中止を思い出させます。このときも主催会社の都合により、直前での中止が決定。札幌ドームでの試合も同様にキャンセルされました。
セビージャ戦の場合は「多面的に検討した結果」として中止が発表されたものの、詳細な説明は乏しく、ファンからの批判も集中しました。
2年連続で国際親善試合の中止が発生している事実は、プロモーター主導のマッチメイキングに対する不信感をさらに強めるものとなっています。
今後の課題と日本サッカー界への教訓
Embed from Getty Images今回のようなケースでは、Jクラブだけでなく、日本サッカー界全体にとっても大きな教訓となります。信頼できるプロモーターの選定、契約の透明性確保、資金管理の厳格化など、今後の国際親善試合を円滑に開催するための制度整備が急務です。
ファンの期待を裏切らないためにも、JクラブとJリーグは今後、法務面やコンプライアンス体制の強化に取り組む必要があるでしょう。
ヴィッセル神戸は引き続き情報収集と調整を行っているとのことで、チケット払い戻しや補償対応を含めた今後の動きに注目が集まります。
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