冬の厳しい気候に囲まれた東北の地で戦うモンテディオ山形は、守備の粘り強さと組織的なサッカーが持ち味のクラブです。近年は昇格プレーオフに進出しながらも、あと一歩のところでJ1昇格を逃すシーズンが続いています。この記事では、モンテディオ山形の歩み、2025年の戦術と注目選手、ホームスタジアムであるNDソフトスタジアム山形の魅力や新スタジアムの建設計画、そして2026年シーズンに向けた展望を紹介します。
モンテディオ山形の歴史
Embed from Getty Images(モンテディオ山形 2013年)
モンテディオ山形の前身は、1984年に創部されたNEC山形サッカー部です。地域リーグからJFL(ジャパンフットボールリーグ)を経て、1996年に「モンテディオ山形」としてクラブ化されました。1999年にはJ2リーグに参入。東北地方初のJリーグクラブとして大きな注目を集めました。
クラブの歴史における節目は、2008年シーズンのJ1初昇格です。小林伸二監督のもとで組織的な守備と速攻を武器に昇格を果たし、2009年には初めてJ1の舞台で戦いました。その後は降格と昇格を繰り返し、2014年にはJ2クラブながら天皇杯準優勝という結果を残しました。
近年のモンテディオ山形は、J2で安定して上位争いを繰り広げています。2022年以降は毎年、昇格プレーオフに進出するも、いずれもあと一歩のところでJ1復帰を逃しました。リーグ戦では、中位から上位を維持しており、堅実な守備をベースにした戦いが続いています。一方で、得点力と試合運びの安定性が課題とされており、その克服がJ1昇格への鍵となっています。
2025年の戦術と注目選手
Embed from Getty Images(ディサロ燦シルヴァーノ選手 )
2025年のモンテディオ山形は、4-2-1-3を基本としています。平均ボール支配率は52.1%と比較的高く、ポゼッションを重視しつつも、相手のライン裏を突く縦への意識が強いのが特徴です。中盤の選手が流動的に動き、サイド攻撃を軸に得点機会を作り出しています。守備面では前線からのプレスが整備され、ボールを高い位置で奪って素早く攻撃へつなげる形が多く見られます。2025年の注目選手は以下の3名です。
ディサロ燦シルヴァーノ(FW)
FWディサロ燦シルヴァーノ選手は、ゴール前での嗅覚に優れたストライカーです。相手ディフェンスの間に入り込むポジショニングの巧さと、両足から放たれる正確なシュートが持ち味です。ポストプレーにも安定感があり、味方を活かす動き出しで攻撃の起点にもなっています。2025年はチームの得点源として、シーズン2桁得点の11ゴール(11月8日時点)を記録しています。
氣田亮真(MF)
MF氣田亮真選手は、サイドからドリブルでの仕掛けで相手を剥がすプレーが特徴で、攻撃におけるアクセントとして機能しています。また守備でも運動量を活かして貢献し、チームのバランスを取る役割を担っています。技術と判断力を兼ね備えたプレーで、試合の流れを作る場面も多く見られます。
國分伸太郎(MF)
MF國分伸太郎選手は、運動量豊富で、攻守両面ににわたりチームに貢献する選手です。2025年シーズンは主に左サイドで起用され、攻撃ではサイドからの仕掛けやパスでチャンスを作り出します。守備でも中盤でのボール奪取やタックルに関与し、チームの攻守のバランスを支える重要な存在です。
NDソフトスタジアム山形と新スタジアム建設計画

モンテディオ山形のホームスタジアムは、天童市にあるNDソフトスタジアム山形です。陸上競技場を併設したスタジアムとして観戦しやすい設計が特徴です、収容人数は約20,000。
陸上トラック付きの構造で、スタンドはピッチを囲むように配置されており、試合の迫力や選手の動きを近くで感じられる点が魅力です。
アクセス方法は、公共交通機関利用の場合、JR 山形駅西口からホームゲーム開催日にシャトルバスが運行されています。駐車場については複数の特設区画が用意されており、試合ごとに運用や利用可能台数が異なるため、来場の際は事前に公式サイトで最新情報を確認することが推奨されています。スタジアム周辺の道路は混雑することもあるため、公共交通機関や乗り合いでの利用が便利です。
また、ベガルタ仙台との「東北ダービー」は、スタンド全体が熱気に包まれる特別な試合であり、アウェイからも多くの観客が訪れます。さらに、ブラウブリッツ秋田との「奥羽本戦」は近年注目を集めており、互いにプライドをかけた真剣勝負が繰り広げられます。寒冷地ならではの厳しい気候の中でも、サポーターの声援がスタジアム全体を温める光景は、山形サッカーの象徴といえるでしょう。


モンテディオ山形では現在、NDソフトスタジアム隣接地に新スタジアムを建設する計画が進行中です。新スタジアムは約15,000人収容を想定しており、将来的には拡張可能な設計が検討されています。

建設は2025年秋に着工予定で、2028年春から夏にかけての開業を目指しています。新スタジアムでは、陸上競技トラックがない設計になることから、観客席とピッチの距離がより近くなり、臨場感の高い観戦が期待されます。

2025年シーズンの総括と来季への展望
Embed from Getty Images2025年のモンテディオ山形は、序盤から中位グループで安定した戦いを続けましたが、シーズン終盤に勝ち点を伸ばせず、昇格プレーオフ進出には届きませんでした。守備の安定感は維持した一方で、決定力不足が課題として残りました。
それでも若手と中堅が融合し、チーム全体の連動性は向上しています。特に中盤の組み立てにおいては、パスワークの質が改善され、攻撃の形が明確になってきました。クラブとしては、長期的なチーム作りを重視し、次シーズンに向けた補強と育成の両輪でJ1復帰を狙います。2026年は、積み重ねてきた戦術の成熟と、攻撃面での向上が期待されます。J1復帰への道を再び切り開けるか。モンテディオ山形の挑戦は2026年も続きます。

コメント