2025年8月23日、待ちに待ったセリエA 2025-26シーズンがついに開幕します。昨季のセリエBから昇格した3クラブが新たに加わり、大注目のセリエA。今回は、昇格クラブの特徴や戦力を深掘りし、パルマ所属の日本代表GK鈴木彩艶の動向、そしてインテル、ナポリ、ユベントスら伝統の強豪勢の現状を整理。新シーズン全体の見通しについてまとめていきます。
昇格3クラブの特徴と戦力分析

今季セリエAへ昇格を果たしたのは、サッスオーロ、ピサ、クレモネーゼの3クラブ。それぞれ異なるルートとスタイルでセリエAへの切符を手にしました。
サッスオーロ:1年での復帰
1年でのセリエA復帰を果たしたサッスオーロは、攻守の切り替えに優れ、コンパクトな守備組織を持ち味としています。セリエBでは中盤の要を中心に、縦に速い攻撃でゴールを量産。補強は控えめですが、既存戦力の成熟度は高く、昇格組の中でも最も安定感があります。昨季の悔しさをバネに「残留」だけでなく「中位定着」も狙える存在です。
サッスオーロの注目選手は、スコットランド代表DFジョシュ・ドイグ。攻撃参加の積極性と精度の高いクロスが武器で、上位クラブ相手にどこまで守備で耐えられるかがカギとなります。
ピサ:34年ぶりの快挙
34年ぶりにトップリーグへ返り咲いたピサは、今季の注目クラブの一つです。昇格の原動力となったのは、強度ある守備とセットプレーの精度。セリエBでは粘り強い戦いぶりで勝ち点を重ね、サポーターを熱狂させました。戦力的には他の昇格組に比べて見劣りする部分もありますが、「奇跡の昇格」という勢いがそのままリーグ戦でも波乱を起こす可能性があります。
ピサの注目はMFマッテオ・トラモーニ。昨季セリエBで13得点を挙げたストライカーで、ポジショニングの鋭さと得点感覚に優れます。セリエAでは限られたチャンスを確実にモノにできるかが残留争いを左右します。
クレモネーゼ:プレーオフを勝ち抜いた粘り
プレーオフを勝ち抜き、昇格枠最後の1つを手にしたクレモネーゼ。昇格決定までの過程で示した「勝負強さ」はリーグ戦でも大きな武器となるでしょう。ベテラン選手の経験と、若手のハングリー精神が融合したチームですが、シーズンを通して戦い抜くには選手層の薄さが不安材料。夏の移籍市場での補強が鍵となります。
クレモネーゼでは、長身FWマヌエル・デ・ルカが大黒柱。昇格プレーオフ決勝で2ゴールを挙げた勝負強さに加え、空中戦の強さは大きな武器です。守備的な戦術が多い中で、彼の一撃が勝敗を決める場面は少なくないでしょう。

パルマの守護神、日本代表GK鈴木彩艶の活躍
Embed from Getty Images2024-25シーズン、パルマの守護神としてセリエA残留に大きく貢献したのが鈴木彩艶です。リーグ戦を通じて安定感のあるセービングを披露し、パルマのセリエA残留に大きく貢献しました。
特にハイボールの処理やビルドアップにおける冷静な判断は、イタリア国内のメディアからも高く評価されています。さらに、守備面だけでなく、現代型GKとしてチームの攻撃にスムーズに関わる姿勢が評価されている点も特徴的です。
セリエAは「守備とGKのリーグ」と称されるほど、伝統的に守護神の重要性が強調されてきた舞台です。かつては、川口能活(元横浜F・マリノス他)や川島永嗣(現ジュビロ磐田)らが欧州の舞台を経験しました。しかし、いずれも出場機会の確保に苦しんだ時期が多く、レギュラーとして継続的に試合に出続けたGKは多くありません。
その点で鈴木は、パルマという歴史あるクラブでセリエAのシーズンを通じてゴールを守り切った点で、従来の日本人GKの挑戦を一歩前に進めた存在です。彼のパフォーマンスは、自身の成長を超えて、日本人GKが欧州で活躍する道を切り開くものと言えるでしょう。
2025-26シーズン注目の強豪 ― インテル・ナポリ・ユベントス



セリエAは今季も熾烈な優勝争いが予想されます。その中心にいるのが、伝統的な強豪クラブであるインテル、ナポリ、ユベントスです。近年はインテルが安定した力を示す一方、ナポリは連覇を狙い、ユベントスは復権をかけた挑戦に臨みます。それぞれが異なる課題と強みを抱えながら、イタリアの頂点を目指すシーズンとなりそうです。
セリエA連覇に挑むナポリ
ナポリは2024–25シーズン、82ポイントを積み上げてセリエA優勝を果たし、2年ぶりのスクデットを手にしました。攻撃的な戦術と守備の安定が噛み合い、MFスコット・マクトミネイやFWロメロ・ルカクの活躍が目立ったシーズンでした。
2025–26シーズンに向け、ナポリはさらなる戦力強化を進めています。注目選手のケヴィン・デ・ブライネは、中盤からゲームを組み立てる司令塔としてチームに加入。彼の高精度のパスと戦術眼は、攻撃陣の連携を向上させ、得点機会を増やす鍵となります。デ・ブライネの活躍が、ナポリのセリエA連覇の鍵を握ることになるでしょう。
王座奪還と欧州戦線での躍進を狙うインテル
インテルは2024–25シーズン、81ポイントでセリエA2位に終わり、わずか1ポイント差でナポリにチャンピオンの座を譲りました。UEFAチャンピオンズリーグではパリ・サンジェルマンに敗れ準優勝と欧州の舞台でもタイトルに届かなかったインテル。2025−26シーズンは巻き返しを図りたいところです。
注目はFWラウタロ・マルティネス。2024−25シーズンは9ゴールを挙げチームの攻撃を牽引、今シーズンはさらなる活躍に期待が掛かります。その他にもチーム得点王の14得点を挙げたマルクス・テュラムやパルマから加入のボニーなどが絡めば攻撃力アップは見込めるでしょう。
復権を目指すユベントス
ユベントスは2024–25シーズン、70ポイントでセリエA4位に終わり、スクデット争いには絡めませんでした。攻守のバランスや中盤の安定感が課題とされ、攻撃陣の得点力不足も露呈したシーズンでした。
2025–26シーズンは、注目選手のジョナサン・デイヴィッドが新加入し、攻撃陣の得点力強化が期待されます。デイヴィッドはスピードと決定力を兼ね備える選手で、既存選手との連携を深めることで攻撃の活性化を担います。また、2025年7月のクラブ・ワールドカップで3得点を挙げた20歳のFWケナン・ユルディズの成長にも期待が掛かります。彼らの活躍がユベントスの今シーズンの行方を左右することになるでしょう。
昇格組と強豪が織りなす白熱のセリエA
Embed from Getty Images2025–26シーズンのセリエAは、昇格組と伝統の強豪が入り混じる激戦が予想されます。サッスオーロ、ピサ、クレモネーゼの昇格クラブは、それぞれ独自の戦術と注目選手を抱え、残留争いだけでなく波乱を起こす可能性を秘めています。そして、パルマの鈴木彩艶は、安定感ある守護神として日本人GKの欧州挑戦の新たな指標となる存在です。
一方、ナポリ、インテル、ユベントスといった伝統の強豪クラブは、それぞれ独自の戦力を整え、スクデット争いと欧州戦線での成果を目指します。ナポリは連覇を狙い、インテルは王座奪還に挑み、ユベントスも復権を目指して攻守両面で戦力を強化。昇格組の奮闘と合わせ、今シーズンのセリエAは熾烈な優勝争いと残留争いが交錯する、最後まで目が離せない戦いになるでしょう。

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